FDA食品施設登録のやり方【完全ガイド】
「アメリカに食品を輸出したいけれど、FDAの登録って何をすればいいの?」
「自社の工場も登録が必要なのか分からない…」
アメリカ向けに食品を輸出するとき、多くの場合に必要になるのが「FDA食品施設登録(Food Facility Registration)」です。
この記事では、はじめてFDA登録に取り組む方に向けて、登録の全体の流れをまとめました。
細かい操作手順は別の記事で画面の流れに沿って解説しているので、まずはこの記事で何を・どの順番で行うのかをつかんでください。
- FDA食品施設登録は、アメリカで消費される食品を製造・加工・包装・保管する施設が行う登録。日本国内の施設も対象
- 登録は無料。FDAのオンラインシステム(FDA Industry Systems)から英語で行う
- 事前にDUNS番号(施設固有識別番号)と米国代理人(U.S. Agent)を用意する
- 登録後も、内容が変わったときの変更と、2年ごとの更新(偶数年の10月1日〜12月31日)が必要
- 施設登録とは別に、成分・ラベルなど商品そのものがアメリカの規制に合っているかの確認が必要
FDA食品施設登録とは?
FDA食品施設登録とは、アメリカで人や動物が消費する食品を製造・加工、包装、保管する施設が、FDA(アメリカ食品医薬品局)に施設の情報を届け出る手続きです。
2002年のバイオテロ法(Bioterrorism Act)をきっかけに始まった制度で、食品の安全に問題が起きたときに、どの施設が関わっているかをFDAがすぐに把握できるようにするためのものです。
アメリカ国内の施設だけでなく、日本などアメリカ国外の施設も対象です。
「登録」は「承認」ではない
施設登録は、FDAが商品の安全性を審査して認めるものではありません。
登録したことをもって「FDA認証済み」「FDA承認」とうたうと誤解を招くため、表示や宣伝では使わないようにしましょう。
商品そのものについては、原材料やラベル表示がアメリカの規制に合っているかを、施設登録とは別に確認する必要があります。
登録にかかる費用
FDAへの登録手数料はかかりません(無料)。
米国代理人のサービスや登録代行を利用する場合は、その費用が別にかかります。
FDAとは何か、どんな商品が対象になるかといった基本は、こちらの記事で詳しく解説しています。
登録が必要な施設・不要な施設
登録が必要かどうかは、「その施設でアメリカ向けの食品に何をしているか」で決まります。
会社ごとではなく、施設(工場・倉庫など)ごとに判断する点に注意しましょう。
登録が必要な施設
・アメリカ向けの食品を製造・加工している工場(菓子、調味料、飲料、サプリメントなど)
・アメリカ向けの食品を包装・詰め替えしている施設
・アメリカ向けの食品を保管している倉庫
ここでいう「食品」には、飲料・ダイエタリーサプリメント・食品添加物・ペットフードなども含まれます。
登録が不要な施設(主な例)
・農場(一定の条件を満たすもの)
・消費者に直接販売する小売店、レストラン
・非営利の食品施設
・加工を行わない漁船
・USDA(米国農務省)だけが管轄する食肉・食鳥・卵製品のみを扱う施設
・個人の住居
日本の施設で注意したいポイント
日本の施設で作った食品が、アメリカへ出荷される前に別の海外の施設でさらに製造・加工される場合、最初の施設は登録が不要です。
ただし、後の施設で行う作業がラベル貼りなどの軽い作業だけの場合は、最初の施設も登録が必要になります。
また、製造工場だけでなく、出荷前に食品を保管する倉庫や、詰め替え・包装だけを行う施設も登録の対象になることがあります。
登録前に準備する情報
FDAの登録画面はすべて英語で、入力も英語(半角英数字)で行います。
途中で手が止まらないよう、次の情報を先にそろえておきましょう。
| 準備するもの | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| FDAアカウント | FDA Industry Systemsのアカウント | 施設登録の前に作成する |
| 施設の名称・住所(英語表記) | 登録する施設の正式名称・所在地・電話番号・メールアドレス | DUNS番号に登録されている名称・住所とそろえる |
| UFI(DUNS番号) | 施設ごとの固有識別番号。現在FDAが受け付けているのはDUNS番号 | 取得に時間がかかることがある。本社ではなく施設の所在地で取得する |
| 米国代理人(U.S. Agent) | アメリカに住所を持つ、FDAとの連絡窓口 | アメリカ国外の施設は必須。24時間つながる緊急連絡先が必要 |
| 緊急連絡先 | 緊急時にFDAが連絡する担当者 | 指定しない場合は米国代理人が緊急連絡先になる |
| 食品のカテゴリーと作業内容 | 扱う食品の分類(菓子・飲料など)と、製造・包装・保管などの作業 | 実態に合わせて選ぶ |
| 所有者・運営者の情報 | 施設の所有者・運営者の名称・住所・連絡先 | 親会社がある場合はその情報も |
DUNS番号(UFI)とは?
DUNS番号は、Dun & Bradstreet社が企業や事業所ごとに付ける9桁の番号です。日本では東京商工リサーチを通じて取得できます。
FDA食品施設登録では、施設固有識別番号(UFI)としてDUNS番号の入力が求められます。入力した施設名・住所とDUNS番号の情報が一致しているかがシステムで確認されるため、英語の名称・住所はDUNS番号の登録内容とそろえておきましょう。
米国代理人(U.S. Agent)とは?
アメリカ国外の施設は、アメリカに住所(居住地または事業所)を持つ米国代理人を指定する必要があります。米国代理人は、FDAと施設の間の連絡窓口になる人・会社です。
施設登録を送信すると米国代理人に確認の連絡が届き、米国代理人が承認するまで登録は完了しません。あらかじめ米国代理人と契約し、登録することを伝えておきましょう。
FDAアカウント作成の流れ
FDA食品施設登録は、FDAのオンラインシステム「FDA Industry Systems」から行います。まずはアカウントを作成します。
1. FDA Industry Systems(https://www.access.fda.gov/)にアクセスする
2. ログイン画面で「Create New Account」を選ぶ
3. 利用するシステム(Food Facility Registration)を選ぶ
4. アカウント情報(氏名・会社名・住所・連絡先・パスワードなど)を入力する
5. 内容を確認して送信し、アカウントIDを受け取る
各画面で何を入力するかは、こちらの記事で画面の流れに沿って詳しく解説しています。
食品施設登録の流れ
アカウントができたら、施設の登録に進みます。
STEP 2 メニューから「Register a Food Facility」を選ぶ
STEP 3 施設の情報を入力する(全12セクション)施設の名称・住所とDUNS番号、緊急連絡先、米国代理人、扱う食品のカテゴリー、所有者の情報などを順番に入力します。最後に、FDAによる施設の査察を受け入れることへの同意と、入力内容が正しいことの宣誓を行います。入力の途中で「Save and Exit」を選ぶと下書きとして保存でき、後から続きを入力できます。
STEP 4 入力内容を確認して送信する
STEP 5 登録番号とPINを受け取る
12セクションそれぞれの入力項目と注意点は、こちらの記事で1つずつ解説しています。
登録後の確認事項
登録番号とPINを保管する
登録が完了すると、登録番号(Registration Number)、PIN、有効期限が表示されます。
登録番号はアメリカへ出荷するときの手続きや取引先とのやりとりで使い、PINは登録内容の変更や更新で必要になります。画面を印刷するなどして、社内で必ず保管しておきましょう。
アメリカ国外の施設の場合は、米国代理人が承認した後に、登録番号などがメールで届きます。
出荷のたびに「事前通知(Prior Notice)」が必要
アメリカへ食品を輸出するときは、出荷ごとにFDAへの事前通知(Prior Notice)が必要です。事前通知では、食品を製造した施設の登録番号を記載します。
施設登録は、事前通知を出すための前提にもなっています。
登録内容が変わったら60日以内に変更する
施設名・住所・連絡先・扱う食品のカテゴリーなど、登録した内容が変わった場合は、60日以内に登録内容を変更する必要があります。
2年ごとの更新を忘れない
FDA食品施設登録は、偶数年の10月1日〜12月31日に更新が必要です。2026年はちょうど更新の年にあたります。
期限までに更新しないと登録が期限切れになるため、登録済みの施設は早めに手続きしましょう。
2026年の更新期間と、更新前に確認したいポイントは、こちらの記事で詳しく解説しています。
施設登録が終わっても、輸出の準備は終わりません
施設登録は、食品をアメリカへ輸出するための手続きの1つです。
手順が公開されているので自社でも進められますが、その先には、商品そのものがアメリカの規制に合っているかを確かめる作業が待っています。
この部分は専門的な知識が必要で、判断を誤ったまま輸出すると、そのリスクは輸出する側が負うことになります。
| 確認すること | 内容 | 間違えた場合に起こりうること |
|---|---|---|
| 成分調査 | 原材料・添加物・着色料などがアメリカで使えるか | 使えない成分が見つかると、輸入時に留め置き・受け入れ拒否となる可能性がある |
| 英語ラベルの作成 | 栄養成分表示・原材料表示・アレルゲン表示などがアメリカの規則に合っているか | 表示の不備は輸入時の留め置きや回収(リコール)につながる可能性がある |
| Proposition 65 (カリフォルニア州法) |
特定の化学物質を含む場合に警告表示が必要か | 警告表示がないと、販売先や民間団体から訴えられるおそれがある |
| FSVP (外国供給業者検証プログラム) |
アメリカの輸入者が、海外の供給業者の安全管理を確認する仕組み | 輸入者の要件を満たしていないと、輸入手続きに支障が出る可能性がある |
| 食品安全計画 | 製造施設での危害の分析と予防管理の計画 | FDAの査察で不備を指摘されるおそれがある |
どれも、商品や原材料、販売方法によって必要な対応が変わります。
「自社で調べてやってみたけれど、合っているか分からない」という状態で輸出するのは危険です。輸出を始める前に、専門家に確認しておくことをおすすめします。
成分調査・ラベル作成は、ワールドシフトにご相談ください
ワールドシフトでは、FDA食品施設登録の更新・新規登録に加え、 成分調査・英語ラベルの作成・Proposition 65への対応・ FSVPや食品安全計画の準備まで、 米国向け食品輸出に必要なFDA対応をサポートしています。
「この商品はそのまま輸出できる?」という段階からご相談いただけます。初回のご相談は無料です。
FDA食品施設登録のよくある質問
Q. FDA食品施設登録に費用はかかりますか?
A. FDAへの登録自体は無料です。米国代理人のサービスや登録代行を利用する場合は、その費用がかかります。
Q. 日本語で登録できますか?
A. できません。登録画面・入力内容ともに英語です。
Q. 登録にはどのくらい時間がかかりますか?
A. 必要な情報がそろっていれば、入力作業そのものは短時間で終わります。ただし、DUNS番号の取得に時間がかかったり、アメリカ国外の施設では米国代理人の承認を待ったりするため、余裕を持って準備しましょう。
Q. 商社を通して輸出する場合も、製造工場の登録は必要ですか?
A. 必要です。登録は会社ごとではなく施設ごとに行うもので、アメリカ向けの食品を製造・包装・保管する施設が対象です。商社が自社の倉庫で保管する場合は、その倉庫も対象になることがあります。
Q. 施設登録をすれば、アメリカで食品を販売できますか?
A. 施設登録だけでは十分ではありません。原材料やラベル表示がアメリカの規制に合っているかなど、商品ごとの確認も必要です。
Q. 化粧品も同じ登録ですか?
A. いいえ。化粧品は食品施設登録とは別の制度(MoCRAに基づく化粧品の施設登録・製品リスティング)で手続きします。
まとめ
・FDA食品施設登録は、アメリカ向けの食品を製造・加工・包装・保管する施設が行う、無料の登録手続き
・登録が必要かは、会社ではなく施設ごとに、その施設で行う作業で判断する
・事前にDUNS番号と米国代理人を用意し、英語の名称・住所をそろえておく
・アカウントを作成してから、12セクションの施設情報を入力して登録する
・登録後は、登録番号とPINの保管、内容の変更、2年ごとの更新を忘れない
・成分・ラベルなど商品そのものの確認は、施設登録とは別に必要
施設登録は、手順に沿って進めれば自社でも対応できます。
その先の成分調査やラベル作成で迷ったときは、お気軽にご相談ください。
