MoCRAとは?米国化粧品規制の対象・登録義務・必要な手続きをわかりやすく解説

こんなお悩みはありませんか?
「アメリカに化粧品を輸出するなら、MoCRAへの対応が必要と聞いた」
「うちの商品は対象?何をすればいいの?」
2022年にアメリカで成立したMoCRA(モクラ)により、アメリカで販売する化粧品のルールが大きく変わりました。それまで任意だった施設の登録や製品の届け出が義務になり、日本のメーカーやブランドにも関係します。
この記事では、MoCRAの対象になる商品と企業、求められる対応、施設登録と製品リスティングの違い、期限と更新、対応の進め方までをまとめました。
CHAPTER 01MoCRA(モクラ)とは?
MoCRA(Modernization of Cosmetics Regulation Act of 2022:2022年化粧品規制近代化法)とは、アメリカで販売される化粧品の安全性を高めるために、2022年12月29日に成立した法律です。アメリカの化粧品のルールは1938年の連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C法)から大きく変わっておらず、MoCRAは約80年ぶりの大改正といわれています。
制定の背景と目的
それまでのアメリカでは、化粧品の施設や製品をFDA(アメリカ食品医薬品局)へ届け出る制度は任意で、FDAは市場にどんな化粧品が出回っているかを十分に把握できていませんでした。
健康被害が起きたときに、どの製品が・どこで作られたかをすぐに突き止め、必要なら回収できるようにすること。これがMoCRAの大きな目的です。
従来のFDA化粧品規制との違い
| 項目 | MoCRA以前 | MoCRA以後 |
|---|---|---|
| 施設の登録 | 任意(自主的な届け出制度) | 義務。2年ごとに更新 |
| 製品の届け出 | 任意 | 義務(製品リスティング)。成分も届け出て毎年更新 |
| 健康被害の報告 | 義務なし | 重い健康被害(重篤な有害事象)は15営業日以内に報告 |
| 安全性の裏付け | 記録を残す義務は明確でなかった | 安全だと裏付ける記録を持つことが義務 |
| 回収(リコール) | 企業の自主回収のみ | 企業が応じない場合、FDAが回収を命じられる |
| 製造の基準(GMP) | 法律上の基準なし | FDAが基準を定めることになった(2026年10月時点で最終的な規則は未確定) |
FDAとは何か、食品と化粧品でFDA対応がどう違うかは、こちらの記事で詳しく解説しています。
CHAPTER 02MoCRAの対象となる商品・企業とは?
対象となる化粧品の具体例
アメリカの法律でいう化粧品とは、体に塗る・振りかける・吹き付けるなどして、清潔にする・美しくする・魅力を増す・見た目を変えるために使うものです。
- ✓スキンケア(化粧水、乳液、美容液、クリーム、パック)
- ✓メイクアップ(ファンデーション、口紅、アイシャドウ、マスカラ)
- ✓ヘアケア(シャンプー、コンディショナー、ヘアカラー)
- ✓フレグランス(香水、コロン)
- ✓ネイル(マニキュア、除光液)
- ✓ボディケア(ボディソープ、ボディクリーム、デオドラント)
化粧品ではなく「医薬品」になる商品に注意
日本では化粧品や医薬部外品として売られている商品でも、アメリカでは医薬品(OTC医薬品)として扱われることがあります。
| 商品の例 | アメリカでの扱い |
|---|---|
| 日焼け止め、SPF入りの下地・ファンデーション | 医薬品(または化粧品と医薬品の両方) |
| 制汗剤、ニキビ・フケを防ぐ薬用品 | 医薬品 |
| 「シミを治す」「肌の構造を変える」などをうたう商品 | うたい方によっては医薬品と判断される |
医薬品に当たる商品は、MoCRAの登録・リスティングではなく医薬品のルールに沿った手続きが必要です。どちらに当たるかは、成分だけでなくラベルや広告での「うたい方」でも変わります。
日本のメーカー・ブランド・販売事業者への影響
| 立場 | 主に関係する対応 |
|---|---|
| 製造工場(自社工場・OEM工場) | 施設登録。日本の工場も、アメリカで売る化粧品を作っていれば対象 |
| ブランド・販売元(ラベルに名前が載る会社) | 製品リスティング、安全性の裏付け、健康被害の報告、ラベル表示。MoCRAではこの立場を「責任者(Responsible Person)」と呼ぶ |
| 輸出商社・小売の販売者 | 自社の名前がラベルに載るなら責任者になる。載らない場合も、メーカー側が対応済みかの確認が必要 |
OEMで作っている場合は、工場の施設登録は工場側、製品リスティングはブランド側、というように役割が分かれます。誰が何をするのかを、取引先と先に決めておきましょう。
対象外となる製品や小規模事業者の免除条件
過去3年間のアメリカでの化粧品の売上が平均100万ドル未満(インフレに合わせて見直し)の小規模事業者は、施設登録と製品リスティング(あわせて製造基準)が免除されます。
ただし、次のような商品を作る・扱う場合は、売上が小さくても免除されません。
- ✓目の粘膜に触れる商品(アイライナー、マスカラなど)
- ✓注射して使う商品
- ✓体の中で使う商品
- ✓見た目を24時間以上変える商品(落とさずに使い続けるもの)
また、免除されるのは登録とリスティングなどに限られます。安全性の裏付け、健康被害の報告、ラベル表示は、小規模事業者でも必要です。
Amazon.comで販売する場合の注意点
Amazon.comで化粧品を販売する場合、MoCRAへの対応は販売の前提になります。Amazonから、安全性や表示に関する書類、登録の状況などの提出を求められることがあります。
他社ブランドの商品を仕入れて販売する場合、責任者は通常そのブランド側です。ただ、ブランド側が登録・リスティングを済ませていない商品を売ると、出品停止や在庫が動かせなくなるおそれがあります。仕入れの前に、メーカー・ブランドに対応状況を確認しておきましょう。
化粧品・サプリをアメリカのAmazonで売るときに確認することは、こちらの記事でもまとめています。
CHAPTER 03MoCRAで求められる主な対応
MoCRAで求められる対応は、大きく次の5つです。
| 対応 | 行う人 | 内容 |
|---|---|---|
| ① 化粧品製造施設のFDA登録 | 施設の所有者・運営者 | アメリカで売る化粧品を製造・加工する施設をFDAに登録する |
| ② 化粧品の製品リスティング | 責任者 | 製品ごとに、成分や製造施設などの情報をFDAに届け出る |
| ③ 安全性を裏付ける資料の管理 | 責任者 | 製品が通常の使い方で安全だと示せる試験結果・文献などの記録を持っておく |
| ④ 重篤な有害事象の報告 | 責任者 | 重い健康被害の情報を受けたら、15営業日以内にラベルの写しを添えてFDAへ報告。健康被害の記録は6年間(小規模事業者は3年間)保管 |
| ⑤ ラベル表示に関する要件 | 責任者 | 健康被害の報告を受け付けるアメリカ国内の住所・電話番号、またはウェブサイトなどの連絡先を表示(2024年12月29日から)。香料のアレルゲン表示も今後、規則で定められる予定 |
①と②は、FDAのシステムに情報を入力して届け出る「手続き」です。手順が公開されているので、自社で進めることもできます。
一方、③の安全性の裏付けと⑤のラベル表示は、成分や配合、表示のルールを読み解く専門的な判断が必要です。根拠が足りない、表示が合っていないまま販売すると、FDAからの指摘や回収、販売停止につながるおそれがあり、そのリスクは責任者が負うことになります。
成分がアメリカの規制に合っているかの確認(成分調査)が必要な理由は、こちらの記事で詳しく解説しています。
CHAPTER 04FDA施設登録と製品リスティングの違い
| 項目 | 施設登録(Facility Registration) | 製品リスティング(Product Listing) |
|---|---|---|
| 誰が行う? | 化粧品を製造・加工する施設の所有者・運営者 | 責任者(ラベルに名前が載るメーカー・包装業者・販売元) |
| 単位 | 施設(工場)ごと | 製品ごと(色・香り・味だけが違うものは、まとめて届け出られる) |
| 主な登録内容 | 施設名・住所・連絡先、FEI番号、米国代理人(海外の施設)、作っている化粧品の種類、販売しているブランド名 | 責任者の情報、製品名、化粧品の種類、全成分(香料は「Fragrance」とまとめて書ける)、製造施設の登録番号 |
| 更新 | 2年ごと | 毎年 |
| 費用(FDAへ) | 無料 | 無料 |
施設登録は誰が行う?
アメリカで販売する化粧品を製造・加工している施設の所有者または運営者です。自社工場ならメーカー自身、OEMなら委託先の工場が登録します。1つの施設で複数のブランドの化粧品を作っていても、施設の登録は1つです。
製品リスティングは誰が行う?
製品のラベルに名前が載っている「責任者」です。製品を作った工場ではなく、ブランドや販売元が責任者になることもよくあります。製品リスティングでは、その製品を作っている施設の登録番号も入力するので、工場側の施設登録が先に終わっている必要があります。
登録に必要な情報
施設登録・製品リスティングとも、FDAの電子申請システム「Cosmetics Direct」から英語で届け出ます(書面での届け出も可能ですが、FDAは電子での届け出を強くすすめています)。
施設の登録番号には、FDAの施設番号「FEI番号」を使います。FEI番号を持っていない場合は、登録の前にFDAへ申請して取得しておきましょう。
米国代理人(US Agent)の役割
アメリカ国外の施設は、施設登録のときに米国代理人を指定します。米国代理人は、アメリカに拠点を持ち、FDAと施設の間で連絡を取り次ぐ窓口です。FDAからの問い合わせや更新の案内は米国代理人にも届くため、すぐに連絡が取れる相手と契約しておく必要があります。
CHAPTER 05MoCRAの登録期限・更新頻度
| タイミング | 期限 |
|---|---|
| 施設登録の更新 | 2年ごと(登録した日から数える) |
| 製品リスティングの更新 | 毎年 |
| 新しく化粧品の製造を始めた施設 | 製造を始めてから60日以内に登録 |
| 新しく販売する製品 | 販売を始めてから120日以内にリスティング |
| 施設の登録内容が変わったとき | 変更から60日以内に届け出 |
すでに販売していた施設・製品の届け出は、FDAが猶予期間を設け、2024年7月1日から本格的に求められるようになりました。猶予はすでに終わっているので、これから輸出する場合は上の期限で届け出ます。
新規登録・変更時の対応
成分の配合を変えた、製造する工場を変えた、ブランド名を変えた、といった場合は、登録・リスティングの内容も変更が必要です。商品のリニューアルのたびに確認する流れを、社内で決めておきましょう。
登録・更新を忘れた場合のリスク
登録やリスティングを忘れたまま販売すると、MoCRAで禁止されている行為に当たり、輸入時の留め置きや販売停止につながるおそれがあります。Amazonなどの販売先や取引先から登録の状況を確認されたときに、示せないことも問題になります。
また、FDAは健康被害のおそれがあるときに、施設の登録を一時停止できます。登録が停止された施設で作った化粧品は、アメリカで流通させることができません。
CHAPTER 06MoCRA対応の進め方
アメリカで売る予定の商品が化粧品に当たるか、医薬品に当たるかを確かめます。小規模事業者の免除に当たるかも確認します。
どの工場で作るか、ラベルに名前が載る責任者は誰かを整理し、施設登録とリスティングをそれぞれ誰が行うかを決めます。
FEI番号、米国代理人、施設の英語の名称・住所、製品ごとの全成分などをそろえます。成分がアメリカの規制に合っているか、安全性の裏付けとなる資料があるかもこの段階で確認します。
Cosmetics Directから、先に施設登録、次に製品リスティングを届け出ます。
施設登録は2年ごと、リスティングは毎年の更新を管理します。健康被害の情報を受けたときの報告の流れも決めておきます。
STEP 4の申請そのものは、情報がそろっていれば手順どおりに進められます。つまずきやすいのは、STEP 1〜3の「化粧品か医薬品かの判断」「成分の確認」「安全性の裏付け」です。ここを誤ったまま届け出ると、登録は済んでいても販売できない、という状態になりかねません。
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MoCRA対応・成分の確認は、ワールドシフトにご相談ください
ワールドシフトでは、化粧品の施設登録・製品リスティング・FEI番号の取得・米国代理人の手配に加え、 化粧品成分の確認・英語ラベルの表示チェック・Proposition 65の調査まで、 アメリカ向け化粧品の輸出に必要なFDA対応をサポートしています。
「この商品はMoCRAの対象?」「化粧品と医薬品のどちら?」という段階からご相談いただけます。初回のご相談は無料です。
FAQMoCRAに関するよくある質問
MoCRAの登録に費用はかかりますか?
FDAへの施設登録・製品リスティングは無料です。米国代理人のサービスや登録代行を利用する場合は、その費用がかかります。
登録すれば「FDA認証済み」と表示できますか?
できません。施設登録やリスティングは、FDAが製品の安全性を審査して承認するものではありません。「FDA承認」「FDA認証」とうたうと誤解を招くため、表示や宣伝には使わないようにしましょう。
食品のFDA施設登録をしていれば、化粧品の登録は不要ですか?
いいえ。食品の施設登録とMoCRAの化粧品の施設登録は別の制度です。化粧品を作る施設は、化粧品として別に登録が必要です。
OEMで作った化粧品を自社ブランドで売ります。何をすればいいですか?
ラベルに自社の名前が載るなら、自社が責任者として製品リスティング・安全性の裏付け・健康被害の報告を行います。工場の施設登録は委託先の工場が行うので、登録が済んでいるか、登録番号を教えてもらえるかを確認しましょう。
展示会のサンプルや少量のテスト販売も対象ですか?
アメリカで流通させる化粧品であれば、量が少なくても基本的にはMoCRAのルールがかかります。小規模事業者の免除に当たるかも含めて、事前に確認しておくと安心です。
日焼け止めもMoCRAで登録すればいいですか?
日焼け止めはアメリカでは医薬品(OTC医薬品)として扱われるため、MoCRAの化粧品の登録ではなく、医薬品のルールに沿った手続きが必要です。
SUMMARYまとめ
- ✓MoCRAは2022年12月に成立したアメリカの化粧品規制の改正法で、施設登録と製品リスティングが義務になった
- ✓日本の工場・ブランドも、アメリカで化粧品を売るなら対象。施設登録は工場、製品リスティングはラベルに名前が載る責任者が行う
- ✓施設登録は2年ごと、リスティングは毎年更新。新しい施設は60日以内、新しい製品は120日以内に届け出る
- ✓小規模事業者の免除があるが、安全性の裏付け・健康被害の報告・ラベル表示は免除されない
- ✓日焼け止めや薬用品など、アメリカでは医薬品に当たる商品は別の手続きになる
登録とリスティングは、手順に沿って進めれば自社でも対応できます。
化粧品か医薬品かの判断や、成分・ラベルの確認で迷ったときは、お気軽にご相談ください。


